長い仕事をする時には、「規則性」が大切な意味をもってくる–村上春樹さん著「職業としての小説家」から学ぶプロジェクトを計画的に進める秘訣

ビジネスの現場では、「仕事の〆切が半年後」といった、「プロジェクト」と呼ばれる仕事があります。

セミナーでタスク管理を教えていると、「プロジェクトを思うように計画的に進めていけない」という悩みをよく聞きます。

プロジェクトに計画的に取り組むことが大切なのはよくわかっているけど、つい「明日やろう」と先送りを繰り返してしまう。

そうこうしているうちに、いよいよ〆切が迫ってきて、毎回お尻に火がついた状態で極度のプレッシャーと戦いながら仕事をせざるをえなくなる。

「次こそは計画的に取り組もう」と思う。けれども、蓋を開けてみれば、また同じような仕事のやり方をしてしまう。

みなこのような悩みに悩まされているのです。

こうした「お尻に火がつかないとプロジェクトに取り組めない」という仕事のスタイルの問題点は、常に「〆切までにプロジェクトを終えることができるのだろうか」という不安を抱えながら、毎日仕事をしなければいけないということです。

また、〆切前になると、他の仕事に全く手がつけられなくなる、長時間残業をせざるをえなくなりプライベートを犠牲にしなければならなくなるといった問題もあります。

今日はこんな働き方にウンザリしているあなたに、作家の村上春樹さんが小説を書く時に使っているシンプルだけれども非常に効果的な手法を紹介したいと思います。

ここで「小説家?」とあなたは思ったかもしれません。でも「本を書く」ということも、立派なプロジェクトです。

たしかに1日、2日で本を書き上げてしまう人もいます。しかし本の執筆というのは,基本的には、長期にわたる仕事だからです。

たくさんの作品を生み出し続ける村上春樹さんが実践していることは、少なからず僕達ビジネスマンがプロジェクトを遂行するにあたり、役に立つはずです。

ということで、プロジェクトを計画的に進めるコツ。お伝えしていきましょう。

キーワードは「規則性」です。

それでは、早速まいりましょう。

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長い仕事をする時には、「規則性」が大切になる

村上春樹さんは、著書「職業としての小説家」で、長編小説を書く場合、毎日400字詰原稿用紙を十枚書くことをルールにしていると書かれています。

ご本人曰く「もっと書きたくなっても、十枚くらいでやめておく」そうです。

また、逆に「今日は今ひとつ乗らないなと思っても、なんとかがんばって十枚は書きます」ともおっしゃっています。

その理由として、「長い仕事をする時には、規則性が大切な意味を持ってくるからです。」と語っています。

そう。この「規則性」というのが、プロジェクトを進めるために非常に大きな推進力になるのです。

「規則性」という観点でいえば、毎日「一定の量を書く」意外にも、毎日「一定の時間をかける」というやり方もあります。

たとえば、僕の知人の作家さんは、本を書く時に「毎日一定の時間をかける」と言います。

また、僕自身も今、毎日本の原稿を書いていますが「毎日20分書く」と決めて書いています。

毎日「一定の量を書く」村上流スタイルと、毎日「一定の時間をかける」スタイル。

果たしてどちらがプロジェクトを計画的に進めるために適しているのでしょうか。

みていきましょう。

会社員であれば、「毎日一定の時間をかける」が正解

結論から言ってしまうと、自分に合ってさえいれば、「どちらでもいい」となります。

ただし、あなたが会社員であれば、毎日「一定の時間をかける」やり方をオススメします。

なぜなら、「毎日一定の量の仕事をする」より、「毎日一定の時間をかける」ほうが心理的ハードルが低くなる(仕事に取り組みやすくなる)からです。

村上春樹さんのスタイルのように「一定の量の仕事をする」としてしまうと、「一定の量」をこなすのに、どれぐらい時間がかかるか、見込みが立たなくなってしまうという問題があります。

たとえば仕事で「毎日レポートを3枚書く」と決めたとします。

このケースの問題は、「日によって全然レポートが書けない日がでてくる」ということです。

村上春樹さんのように専業の作家さんならまだいいかもしれません。

しかし、会社員の場合は、普通は他にもやらなければならない仕事がたくさんあるでしょう。

「レポートを3枚書く」というタスクの見積もり時間を30分としていたのに、実際には3枚書きあげるのに2時間かかってしまえば、他の仕事が全く回らなくなってしまいます。

こうした観点から、「毎日一定の量の仕事をする」というスタイルは、会社員に適した仕事のやり方とは言えないと僕は考えます。

一方、「毎日20分やる」というように、毎日「一定の時間をかける」手法はとても理にかなっています。

決めた時間(たとえば20分)、タスクに取り組むことだけに集中すればいいからです。

仮に全くレポートが進まなかったとしても、問題ありません。20分時間をかけたのであれば、スパッとやめていいのです。

仮に20分かけて何も書けなかったとしても、それはある意味必要な時間だったわけですから、問題ないわけです。

また、毎日取り組む時間を短くすればするほど、毎日取り組みやすくなります。

たとえば「毎日20分だけ取り組めばいい」と思えば、仕事に着手しやすくもなりますよね。

以上の理由から、プロジェクトの規則性について言うと、「毎日一定の時間をかける」がベストということになります。

まとめ

今日の記事でお伝えしたいことは、2つです。

一つは、プロジェクトを計画的に進めるためには「規則性」を意識することが大切であるということ。

二つ目は、2つある「規則性」、すなわち「毎日一定の量をこなす」、「毎日一定の時間をこなす」について、会社員であれば「毎日一定の時間をこなす」が理にかなっているということです。

プロジェクトの進め方について理解を深めたい方は、以下の記事もぜひ読んでみてくださいね。

村上春樹さんの「職業としての小説家」もぜひ。

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この記事を書いた人

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滝川 徹

タスク管理の専門家・コンサルタント。Yahoo!ニュース、アゴラに記事掲載。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成し、およそ7時間の自由時間の創出に成功する。

その体験を出版した「気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。(金風舎)」はAmazon1位2部門を獲得。その後講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動をスタート。

2018年には順天堂大学で時間管理をテーマに講演を行うなど、月4時間だけ働くスタイルで個人事業で4年間で500万円の収入を得る。

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