あまり語られない「好きに生きる」の先に待ち受ける「暇」という試練の話–ハッピーエンドを迎えても、人生はその後も続いていく。

人生で「やらなければいけないこと」が少なくなった時に、人がぶち当たる問題がある。

それは、有り余る時間にどう対処していくか、もっとわかりやすくいえば、「暇」に対してどう対処していくかという問題だ。

「時間がない」と日々悩んでいる人にとっては冗談みたいな話だと思うが、これは事実で、何を隠そう、僕自身もここ数年はこの問題に頭を悩ませてきた。

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「おもしろいなぁ」と思うのが、本屋をいくら探しても、この「暇にどう対処するか」について書かれた本が見当たらないということだ。

今まで数々の本を読んできたが、この問題について唯一と言っていいくらい言及しているのが、僕の愛読書「『週4時間』だけ働く。(青志社)」くらい。あとは強いて言うと、「定年をどう過ごすか」という類の本がそれに近いと言える。

世の中の多くの人は「好きに生きたい」と願っている。しかし、いざ好きに生きられるようになると、その先には「暇」に対処するという、人生の最難関とも言える試練が待ち受けている。

この真実は、なぜかあまりおおっぴらには語られない。それは、それだけこの問題に対する解を見つけるのが難しいからだと僕は考えている。

なぜなら、結局その解は、「あなたがやりたいことは、一体なんですか?」という問いに対する答えそのものになるからだ。

時間がない人生を送っている時期は、時間ができたら「1日中本を読んでいたい」「ゲームをしていたい」「映画を見ていたい」などと思う。

しかしいざ有り余る時間を手に入れて、実際に1日中そうしたことに時間を費やしてみればわかる。1週間もすれば、そうした生活には飽きてしまう。そして次第に人はいわゆる「いきがい」を求めるようになる。

時間が有り余っているからと言って、誰もがいたずらに時間を浪費したいとは思わない。健全な精神をもってさえいれば、誰もがよりよく、幸せに生きたいと願う。

僕自身の経験から言えば、時間が有り余る中で、どんなことをしている時に自分は幸せを感じるのか。どんなことをしている時に充実感を感じるのか。つまり、「自分がやりたいことは一体なんなのか」

この「お題」に真剣に考えざるを得なくなる。それはそうしないと、「暇」に耐えられず、苦痛を味わうことになるからだ。

僕が数年間かけて解いてきたこの難問の一つの解は、自分が「楽しい」と感じることで、「人の役に立てている」と思うことをすることだ。

たとえば僕の場合、こうして文章を書くことがそれにあたる。自分が「伝えたい」と思うことを、こうして文章にする。僕は自分が書く文章が好きなのか、文章を書いている時間は僕にとって至福の時間となる。

そして自分が書いた文章を誰かが読み、楽しんでくれたり、喜んでくれたりするのがわかると、また嬉しくなる。そんな時は自分の才能を活かして人の役に立てている気がする。自分が存在する価値のようなものを感じる。「自分が生きている意味」のようなものを感じるのだ。

この「自分が生きている意味」を感じることが、いわゆる「いきがい」をはじめとして「人生の充実感」に影響を与えると僕は考えている。

楽しいからと言って、ずっとゲームだけやっていたり、Netflixだけ見ていても、いきがいや充実感を感じられない理由はここにある。 自分が「何も価値を生み出せていない」と感じると、人は充実感を感じることができないのだ。

くりかえすが、自分が「楽しい」と感じること、かつ、「人の役に立てている」と感じることをすることが大切なのだ。

先程も書いたように、Netflixだけ見ていても、充実感は感じられない。一方で、「楽しい」と感じられないことで人の役に立とうとしすぎてしまうと、これもまた会社員の仕事と同じように苦しくなってしまう。

2つの要件を満たすことをすること。これが、至福の時間につながっていく。こうして考えていくと、僕達の「やりたいこと」は、この「2つの要件を満たすこと」だと言える。少なくとも僕はそんな結論に達した。

こうした「自分がやりたいこと」に費やす時間は至福の時間となるが、「やりたいことをやらなければならない」と考えるようになると、「やりたいこと」もいつの間にか「やらなければいけないこと」に変わってしまい、それもまたストレスとなるので注意が必要だ。

たとえば僕の場合、文章を書くのは至福の時間ではあるが、1日中文章を書いていればさすがに辛くなる。なんでもそうだが、大切なのはバランスなのだ

僕個人の感覚では、「やりたいこと」は数時間かければ「充実感」は十分感じられる。その後は仮にNetflixを一日中見たとしても、「いい1日」だったと思える。なので僕自身は大抵早朝に「やりたいこと」をやってしまい、あとはその日の気分次第で純粋に「楽しい」と思えることをしている。

個人的におすすめなのは、やはり運動だ。運動を続ける秘訣は、これまた「楽しい」と思えることをすることだ。

僕の場合はテニスと、プールで泳ぐこと。特にプールは一人でもできるので、週3〜4日は行く。運動は充実感も感じられるし、食事もおいしくなるし、心地よい疲れでよく眠れるようになる。

また、友人とテニスを楽しむ時間はさらに楽しい。昔からの友人とテニスをし、温泉に入り、麻雀を楽しむ。そんな「フルコース」の1日は僕にとって人生の最高の時間の一つとなっている。

テニス以外でも友人と過ごす時間は楽しいし、もちろん家族と過ごす時間も楽しい。家族とどこかに出かけたり、食事を楽しむ時間も僕の至福の時間となっている。

その他には、大抵本を読んだり、ドラマや映画を見たり、ゲームをしたりする。そうそう、昼寝をするのも至福の時間の一つだ(最近やってないなら、ぜひやってみたほうがいい。最高だ)。

こうして僕自身は数年かかって、ようやく有り余る時間を嗜むことができるようになってきた。そんな今でも、たまに「何をしようかな」とやることを探してしまう時もある。そんな感じで、「好きに生きる」を楽しむためには、練習が必要なのだ。

子供の時は、こんな風に「好きに生きる」ことに悩むことはなかったはずで、なんとも皮肉な話ではある。

大人になり、僕達が失ってしまったものははたして取り戻せるだろうか。その答えがわかるのは、もう少し先の話になりそうだ。

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この記事を書いた人

滝川 徹

1982年東京生まれ。
慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得、2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

その体験を出版した「気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。(金風舎)」はAmazon1位2部門を獲得。

2018年には順天堂大学で時間管理をテーマに講演を行うなど、講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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