先日いつものスターバックスで作業をしていたら、珍しい体験をした。
隣に座ってたおっさんが、なんと近くにいた二人に「うるさい!」と大声で注意をしはじめたのだ。
たしかにその二人はうるさかった。
その二人はなにやら、打ち合わせをしてるようだった。
一人がおそらくアドバイス役なのだろう。相談者は女性。キーキーとかん高い声で、たしかに僕も正直「うるさいな」と感じるくらい、比較的大きな声でアドバイス役の男性におそらく自分のビジネスのことを相談していた。
まるでフロア全体の人に自分の悩みをぶちあけてるみたいだった。
おそらくフロア中の人が「うるせぇな」と思っていたことだろう。
ただみんなそうであるように。みんなよっぽどじゃなければ、注意なんてしない。先日ニュースになったようなトラブルにみんな巻きこまれたくなくないからだ。
そこを果敢に攻める勇者がいた。
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そのおっさんがヤバそうなことは、僕の隣に来た時にすぐにわかった。
いつもこんなマスクをしてる僕が言うのも大概だが、そのおっさんは毛皮のようなコートをきていた。
みかけはただのおっさん、いわゆる会社にいるふつうのおっさんを想像してほしい。
そんなきわめてふつうのおっさんなのに、マダムが着ているような毛皮のコートと言ったらいいのだろうか。そんなコートを着ていた。
言葉で伝えるのがむずかしくてもどかしいが、とにかく一目見てふつうじゃなさそう。
「コイツはヤバいかもしれない」という僕の野生のカンが働いた。たぶん僕自身がヤバいヤツだからか、同類を感じる力が僕は人一倍強いのかもしれない。
そのおっさんは僕の隣に座った。
さりげなくそのおっさんの顔を見ると、なんとなく見覚えがあった。あぁ、随分前にも僕の隣に座り、うるさく電話をしていたあのおっさんじゃないか。
僕は意外と人の顔を覚えるのが得意なほうだ。「顔認識能力」とでも言うのだろうか。それが、人より少し高い。
だからこのおっさんのことは覚えていた。
その時は100%までの確信はないが、あの時も「このおっさんはヤバい」と思った。おそらくこのおっさんは同一人物だ。僕はそう感じた。
そのおっさんはコーヒーを飲むなり「ぷはぁー」と声を発した。うるさい。まさにおっさんだ。
そう思ったら、次は携帯を取り出し、そこそこ大きな声で電話をしはじめた。
なにやら予定をキャンセルしてるようだった。声が気になって集中できない。でも、わざわざ注意するレベルではない。僕はそのまま自席で作業を続けた。
事件が起きたのはその数分後だった。
おっさんが近くで大声で話をしていた例の女性に向かって「君たち、うるさいよ。ここは会議室じゃないんだ。出て行きなさい。」と言い放ったのだ。見ず知らずの他人に向かって「出て行きなさい」とは、なかなか挑戦的な発言だ。
聞き役だった男性は「はいはい、声を小さくすればいいんでしょ」と迷惑そうにはしながら、軽くその場を流そうとしていた。それで終わるのかと思いきや、女性が思わぬ反撃にでた。
「あなたが出ていってください。というか、マスクをまずしてください。」
「いやいやそこはもう流そうよ」と外野としては思ったが、たしかに男性はその時マスクを外していた。
ちょっとイタいところをつかれた彼は「今はコーヒーを飲んでるから外していただけだ」と言い返していた。
その後も彼らの子供の喧嘩のようなやりとりは続いた。
まわりのみんなは何事もなかったように平静をよそおっていたが、みな耳をダンボにしてやりとりを聞いていたと思う。
正直やりとりがうるさすぎて、僕ももはや目の前の作業に没頭することが困難になっていた。というか、事件が起きないか。ハラハラするまでになっていた。
しばらくやりとりをしておっさんも「ラチがあかない」と思ったのか、1階にいる店員に「報告しにいく」と言って、荒々しく2階のフロアから1階へ降りていった。
階段を降りてる途中に足を踏み外したのだろう。ドタドタドタという音がした。おそらくおっさんは興奮しすぎて、軽く転倒したのだと思う。その場面を想像したら、ちょっと笑えた。
その後しばらくして、おっさんは2階に戻ってきた。
おそらく店員から期待したリアクションが得られなかったのだろう。「報告しておきましたから」と捨て台詞を吐き、おっさんは何事もなかったかのようにコーヒーを飲みはじめた。
これでこの騒動は終わったのかと思いきや、、、まだ続きがあった。
その後しばらくして、スタバの店員が2階に上がってきた。若い男性だ。
彼は上がってくるなりおっさんに向かって「こちら(店側)はお客様同士のトラブルには関与できないので」と語った。
おっさんはなぜか「彼らも声の大きさを下げてくれたので、もういいです」と言う。えっ、もういいの?と僕は思った。フロアの全員がそう思ったと思う。1階で店員に何か言われたのだろうか。やけに素直だ。
まぁ、いいや。「これでようやく終わったか」と思いきや、その店員にむかっておっさんがチョイチョイと「ちょっとこっちにきて」という仕草をする。
そうしておっさんと店員は部屋の隅っこで話をしはじめた。僕からは距離がめちゃめちゃ近いので、声はまる聞こえだ。
しかたないので彼らのやりとりを聞いていると。どうやら若い男性の店員は店長のようだった。
そして、おっさんはこうしたやりとりの常習のようで、店長も「いつもこうした話をされますが、、、」と話している。「いつもじゃないだろう!」とおっさんは言い返している。
店長はだいぶ面倒そうにやりとりをしている。当然その姿勢をおっさんは感じるのだろう。
おっさんは次第にヒートアップし、「なんだその言い方は!」と怒鳴りはじめる。「全部録音してるんだぞ」とも怒鳴ってる。おっと、これはだいぶヤバい。
店長も店長で若いからか「全然かまいませんよ」と強気だ。
いやいやそこは店長なんだし、もう少し低姿勢でいったほうがいいんじゃないなどと、余計なお世話だがまもなく40をむかえるおっさんの僕としては心配になる。
「もういい。コーヒーが冷める。もうあっちいけ」というおっさんの声が聞こえた。
店長は「いやいや、しかしですね、、」と話を続けようとする。おっさんはひたすら「もういいから行け!」と怒鳴る。
店長も早く行けばいいのに、くいさがる。この小芝居のようなやりとりもしばらく続いた。
最終的には店長もしぶしぶ持ち場に戻り、おっさんは僕のとなりに座り、何事もなかってようにコーヒーを再び飲みはじめた。
コーヒーを飲み、また「ぷはぁー」と声を出す。「うるさいなぁ」と僕は心の中でふたたび思う。
ただ、ひとまずこれでフロアは平和を取り戻した。
その後は何も騒動もなく、しばらくしたらおっさんは毛皮のコートを着て、フロアを颯爽と去っていった。
このおっさんは、おそらく気がついていないだろう。
「うるさい」と注意した張本人が、実はフロアで一番うるさかったということに。
人に対して感じることは、実は自分にもその要素がある「ブーメラン」なのだ。
他人は自分の鏡とよく言われる。
他人に対して「アイツはうるさいヤツだな」と思う時は、自分も「うるさいヤツ」なのだ。
「アイツは迷惑なヤツだな」と思えば、「自分が迷惑なヤツ」なのだ。
「アイツは自己中だな」と思ったなら、「自分が自己中」なのだ。
多くの人は自分が正しいと思っている。
あのおっさんも、はじまりの発端は「喫茶店では静かにすべきだ」という考えがあったことだろう。
そのルールを破っていたように見えていた二人の過ちをただそうとして、彼は正義の鉄槌をふりかざしたわけだ。
しかしさっきも書いたように、彼は僕からしたらすでにうるさかった。「ぷはぁー」もうるさかったし、電話もうるさかった。
彼は自分自身が「喫茶店では静かにすべきだ」というルールを(僕からしたら)破っていた。そのことに気がついていなかった。
何が言いたいかというと、他人に対して思うことは、ブーメランであり、自分に対して言わなければいけないことかもしれないということだ。
他人に対して「うるさい」と思うなら、それは自分に対しても言わなければいけないことになる。
他人に対して「アイツは迷惑だ」と思うなら、「自分が」迷惑なヤツだということを自覚することだ。
こうして、他人に対して思うこと、感じることは、「自分も同じことを無意識でやっている」ということを理解できるようになると、他人に対して寛容になることができる。
何か他人に対して思ったり感じたりしても、「自分にもそういうとこ、あるしなぁ」と思えるようになる。
「おたがいさま」と思えるようになる。
他人は鏡であり、他人に対して思うことは、自分にも同じ要素があるということ。
このことをみんなが知っていれば、「正しい」「間違ってる」という争いがない、平和な世界が待っている。
そんなことを感じたスターバックスのひと場面だった。
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君からのメッセージを楽しみにしている。
それではみんな、Have a nice day!!!