「失敗せずにうまくいく方法」を考えてる限り、いつまでたっても残業を減らすことはできない

「残業を減らしたい」と相談してくる人に、僕が常々言ってることは、「リスクを取りなさい」ということだ。

残業を減らしたいのに、減らせない人には共通点がある。それは、「リスクが取れない」ということ。

「どうやったら同僚から嫌われずに、上司から評価を下げられずに残業を減らせるか」ばかり考えている。

そうしてタスク管理や仕事術を学ぼうと考える。そうして仕事のスキルを高めれば、「同僚から嫌われたり、上司から評価を下げられずに残業を減らせる」と考えるからだ。

この発想は、よくわかる。なぜなら、僕自身が昔まさにそう考えてきたからだ。

でもね、こうして「失敗せずにうまくいく方法」を考えてる限り、いつまでたっても残念ながら残業を減らすことはできない。

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その理由は、実際「残業ゼロ」を実践してる人を見れば、わかる。

彼らは仕事をきちんと断ってるし、仕事を選んでいる。同僚から嫌われることを恐れずに言いたいことを言うし、忖度しないから効率的な仕事の進め方ができる。

簡単に言えば、「調整」と「忖度」がないから、その分仕事を効率的に進めることができるんだ。

また、彼らは「失敗してもいい」と考えながら仕事をしている。もちろん、重要なポイントは外さないから、大きなミスはしない。ただ、「小さいミスなら多少してもかまわない」と思っている。だから仕事のスピード、判断も早いんだ。

長時間労働の人の特徴は「完璧主義」。リスクを取れない。だから当たり前だけど、仕事のスピードが遅くなる。

では、どうしたらリスクを取れるようになるのか。ここがあなたが知りたいところだろう。

それは、今から少しずつでもいいから、リスクを取っていくしかない。

たとえば、昔の僕の話をしよう。

昔の僕は、仕事をよく拾いにいっていた。仕事では、担当が明確にならない仕事が発生することがままある。そうした仕事が発生した時、昔の僕はそれを自ら拾いにいっていた(きっとあなたもそうだろう)。自分が自らその仕事をやるか、それを誰かに依頼していた。

そうしないと、その仕事がそのまま放置され、誰にも処理されないと思っていたからだ。そうしたら、結果的に自分が困ると思っていた。それなら、自分でその仕事を早めに拾いにいったほうがいい。そう考えていた。

そうすると、結果的にけっこうな仕事を自分でやることになる。たまには他人にやってもらうが、自分がたくさんやらないと他人に仕事を振れない。そうして僕の仕事は無尽蔵に増えていった。

しかし「残業を減らそう」と決意してからは、この習慣を手放してみた。担当が明確にならない仕事が発生しても、あえて「何もしない」を選択するようにした。

そうしたらおもしろことに、勝手に同僚がそれを処理していくことに気がついた。僕が何もしなくても、同僚間で勝手に仕事の割り振りが決まっていく。「自分がやらないと、大変なことになる」という考えが幻想だったことに気がついた瞬間だった。そう、僕はもっと同僚を信頼して、頼ればよかったのだ。

この時、あらためて「僕ががんばらなくても組織は勝手に回っていく」と気づいた。

これは一つの例だが、こうやって、ほんとはやりたくないけど、立場上ムリしてやっていることを少しずつ手放していく。これが残業を減らすスタートになる。

こうした具体的な僕の体験を知りたいなら、僕自身が勇気を出して仕事を手放していった体験は本にまとめてある。興味があったらぜひ読んでみてほしい。

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この記事を書いた人

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滝川 徹

「30分仕事術」考案者。Yahoo!ニュースやアゴラに記事掲載多数の現役会社員。作家。タスク管理の専門家・セミナー講師。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』他。

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