圧倒的に仕事が早い人がチャット(社内SNS)よりも電話によるコミュニケーションを重視する理由

コロナウィルスをきっかけに近年はテレワークも増え、筆者が会社員として働いていて、社内のコミュニケーションにおいて「Slack」や「Teams」をはじめとしたチャットツール(社内SNS)を活用するビジネスシーンも増えてきているように感じている。

たしかにチャットは便利だ。電話よりも気軽に相手にメッセージが送れるし、相手さえよければリアルタイムでメッセージをやりとりすることもできる。対面や電話でのコミュニケーションと違い、「相手の時間を奪う」という感覚もない。

2017年頃と大分前にはなるが、以前堀江貴文氏が「電話してくる人とは仕事するな」と主張し話題になった。対面はおろか、電話で他人とやり取りすることは他人の時間を奪う行為でもあり非効率。そんな考えとテレワークが増えたことも合わさり、他人とのコミュニケーションの際、当たり前のようにチャットを利用しているビジネスパーソンも今では多いのではないだろうか。

チャットはたしかに便利なのは間違いない。一方で、日本のビジネスパーソンは実はもっと対面や電話でのコミュニケーションを活用したほうが効率的に働けると筆者は考えてる。

もちろん、コロナ渦での対面でのコミュニケーションは慎重を期すべきなのは言うまでもない。したがって、今回は(対面はもちろん)電話を使ったコミュニケーションが非効率という誤解を紐解きながら、日本のビジネスパーソンがもっと電話でのコミュニケーションを活用すべき理由について言及していきたい。

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電話は本当に「相手の時間を奪う行為」なのだろうか?

まず、そもそも電話によって相手とコミュニケーションすることは、本当に「相手の時間を奪う行為」なのだろうか?この点から考えていきたい。

たとえばいきなり相手に電話をかけたりすれば、相手からすれば今やっていることを中断することになり、相手は「時間を奪われた 」と感じることになるだろう。

しかしこの問題は、相手と事前に調整さえしてしまえば、簡単に解決することができる。電話で打ち合わせをしたい時に事前にチャット等で相手の都合を確認するようにすればいいのだ。

たとえばチャットで「今電話でお話ししても大丈夫でしょうか?」と相手に確認して、了承をもらってから電話をするようにする。もし相手の都合がその時悪いようであれば「電話で打ち合わせをしたいのですが、いつ頃がご都合よろしいですか?」などとメッセージし、相手とスケジュールを調整のうえ電話をすれば、相手も「時間を奪われた」とは感じることはないはずだ。

一般のビジネスパーソンがもっと電話を活用したほうがいい理由

筆者が電話をもっと活用したほうが効率的だと考えるのは、テキスト(文章)の入力に想像以上に時間を取られるからだ。

たとえば部下が上司に対し「明日の会議の資料の印刷は30部でよろしいでしょうか?」と打ち、上司が「OK」と返信するような簡単なやりとりは別として、相手と意見交換をしたり、込み入った話をするような場面では、テキストの入力は想像以上に双方の時間を使うことになる。わかりやすい例をあげれば、電話で話せば5分ですむ話を、20分かけてお互いにテキストでやりとりするのは非効率ではないだろうか。

こうした筆者の主張に対し、「テキストの入力に時間がかかるのは思考が整理されていない証拠であり、伝えるべきことを適確に伝える能力があればテキストの入力にそんなに時間はかからない」と反論する人もいるかもしれない。

たしかに堀江貴文氏をはじめとしたトップクラスの著名なビジネスパーソンにとってはそうかもしれない。しかし一般のビジネスパーソンはどうだろうか。

少なくとも筆者が日々会社員として働き、一般のビジネスパーソンとやりとりする限りでは、相手と相意見交換をしたり、込み入った話をする時はチャットよりも電話で話をしたほうがずっと短い時間で効率的にやりとりができると感じている。

電話で話をするより、チャットで文章をやりとりするほうが双方にとって効率的だと言えるのは、双方がトップクラスのビジネスパーソンの時に限られるのではないかというのが筆者の考えだ。

優先順位は「対面>電話>チャット>メール」

誤解しないでほしいのは、筆者は何も「チャットは非効率的で、使うべきではない」と言いたいわけではないということだ。冒頭に書いたように、チャットは非常に便利なコミュニケーションツールであり、単純なメッセージのやりとりをする場合には、積極的に活用すべきだと筆者も考えている。

一方で、たとえば相手と意見交換をしたり、込み入った話をする必要がある時のように双方が文章(テキスト)の入力にそれなりの時間を要することが見込まれる時は、電話でのコミュニケーションを使うほうが効率的だと伝えたいに過ぎない。

そしてこうしたビジネスシーンは一般的に考えられているほど少なくないと筆者は感じる。だからこそ、そうした時に電話をもっと活用することで、一般のビジネスパーソンの仕事の効率は飛躍的に上がっていくと筆者は考えている。

シリーズ累計170万部を超える「99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ」の著者である河野英太郎氏もコミュニケーションの優先順位は「対面>電話>チャット>メール」の順であるべきだと主張している(2019年3月8日THE21オンライン『今こそ「電話」を多用せよ! その納得の理由とは?』)。筆者も全く同じ考えだ。

限られたトップクラスのビジネスパーソンは除き、一般のビジネスパーソンは電話をもっと活用したほうが効率的に働けるのだ。

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この記事を書いた人

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滝川 徹

「30分仕事術」考案者。Yahoo!ニュースやアゴラに記事掲載多数の現役会社員。作家。タスク管理の専門家・セミナー講師。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』他。

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