働きすぎで仕事が「しんどい」の問題の本質は、実は心の問題にある–問題が起こる「心の仕組み」とその「対処法」

先日、知人がメンタル不調で会社を休職していたことを知って、衝撃を受けた(今は無事復帰されているようだ)。

彼のブログ記事が、Twitterのタイムラインに流れてきたことが知ったきっかけだ。

彼(以後、「北さん」)のブログによると、休職前は以下のようなムチャな働き方をしていたらしい。

朝8時半から夜中の1時ぐらいまでずっとパソコンに向かっていて、休みの日もチャットとメールを常時気にしていて、常に何かに怯え、作業効率も激減し、常に頭痛と吐き気に襲われ、心配で夜も寝れず、酷いときには立てなくなる状況

「朝8時半から夜中の1時ぐらいまでずっとパソコンに向かっていて」の時点で完全に「働きすぎ」なわけだが。

ご本人も書いている通り、「働きすぎ」の渦中は自分を客観的に見るのはむずかしい。

視野が狭くなって、冷静な判断ができない。だからこそ、倒れるまで働き続けてしまったのだと思う。

北さんとは一緒にセミナーをやったことがあるが、北さんは間違いなく優秀なビジネスパーソンだ。

それは、彼のブログや出版されている本を読めば、あなたもすぐにわかるはず。

タスク管理ツールToodledoの使い方に関する本を書くような人が、仕事の進め方やタスク管理のスキルがないわけがない。

そんなすごいスキルをもった人でも、メンタル不調になってしまうというのが、現代の恐ろしいところだ。

ちなみに一緒に仕事はしたことはないが、タスク管理の達人とされるはまさんもメンタル不調から休職を経験されている。

北さんのブログを読み、自分が長時間労働の時に感じていた苦しみを思い出し、胸が苦しくなった。

彼らの痛々しい体験からもわかる通り。

現代ではタスク管理や仕事のスキルだけでは、「働きすぎてしまう」という問題を解決することができない。

では、現代の忙しいビジネスパーソンはこの問題にどう立ち向かっていけばいいのだろうか。

僕自身が長時間労働の問題を克服した経験から言わせてもらうと、それは「心の教養」を身につけることだ。

「心の教養」といっても、心理学を学問として学んだりと、むずかしいことを学ぶ必要はない。

大切なことは、働きすぎてしまうという問題の本質である「心の問題」に目を向けることだ。

「どうして人はそこまでムリをしてまでがんばって働いてしまうのか。」

その「心の仕組み」を知り、その「対処法」を正しく知ること。

このことを理解できれば、自ずと働きすぎの問題は解決に向かっていく。

これまで僕は長時間労働を克服し「残業ゼロ」を達成した経験から、4年にわたり年間20回以上セミナーで働き方を変える方法を教えてきた。

今日はその軸にある「心の仕組み」と「対処法」の考え方について。

できるだけわかりやすく説明していこうと思う。

「もう働くのがしんどい」と感じてる人は倒れる前にぜひ読んでみてほしい。

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自ら問題を作り出す、「心の仕組み」

はじめに心の仕組みについて説明しよう。

人が生きていて何かを「問題」と感じている時、その人は「歪んだ考え」を信じてしまっていると言える。

たとえばある人が「働きすぎている現状がつらすぎて、なんとかしたい」と問題を感じているとする。

この場合の「歪んだ考え」は「がんばらない自分には価値がない」というものだ。

無意識の深いところで「がんばらないと自分には価値がない」と思っている。だから、やりたくもない仕事をどんどん自ら引き受けてしまう。

それは、そうしてムリしてまで必死に仕事をがんばっていないと。「自分には価値がない」と感じてしまうから。

「自分には価値がない」と感じたくないから、必死に仕事をがんばる。

これが、「仕組み」だ。

人は「歪んだ考え」をもっていることで、自ら問題を作り出すように行動してしまう。

まずこの心の仕組みを知っておく必要がある。

こうした「仕組み」は恐ろしいものだが、マジックと同じように、タネがわかれば解決する方法もわかる。

「歪んだ考え」があるなら、それを「矯正」すればいい。

なぜ「歪んだ考え」を矯正すると、働きすぎの問題が解決していくのか。

説明していこう。

歪んだ考えがなくなると、行動が変わる

たとえば、「働きすぎ」が問題となっている場合。

「がんばらないと自分には価値がない」という考えが、「歪んだ考え」だ。

この歪んだ考え、すなわち、「がんばらないと自分には価値がない」という考えがなくなれば。

実は「働きすぎ」の問題は解決する。

理由は単純。ちょっと想像してみてほしい。

今あなたが「働きすぎ」の問題を感じているとする(想像してみてほしい)。

あなたは「がんばらない自分には価値がない」と思っているわけだが、もしあなたが「がんばらない自分には価値がない」と思っていなかったとしたら。

もっと言うと、「がんばらなくても、自分には価値がある」と思っていたら。

あなたはムリしてまで、毎日必死に深夜までがんばって働くだろうか?

きっと、働かないはずだ。

そう。「がんばらない自分には価値がない」という「歪んだ考え」さえなければ。

人は「ムリしてまで働く」という行動は取らなくなる。

では、どうしたら「がんばらないと自分には価値がない」という考えを矯正することができるのだろう。

それは、「逆の考え」を信じてみることにある。

「逆」の考えを信じると、歪んだ考えは矯正される

今信じている「がんばらない自分には価値がない」という歪んだ考えの逆の考え。

それは、「がんばらなくても、自分には価値がある」というもの。

この「がんばらなくても、自分には価値がある」と信じられるようになれば。

先程書いたように。働きすぎの問題は解決する。

「それができないから、苦しんでるんだろうが」という声が聞こえてきそうだ。

あなたの気持ちはよくわかる。

安心してほしい。

「がんばらなくても、自分には価値がある」と思えるようになる方法をきちんと説明する。

「歪んだ考え」を矯正する方法は、大きくわけて2つある。

一つは自ら「体感」して、矯正する方法。

もう一つは、カウンセリングなどで自分の歪んだ思考を「認知する」方法だ。

まず「体感」の方法について説明する。

自分の今までの常識に反した行動を通して「体感」する

ここでいう「体感」とは。

「がんばらなくても、自分には価値があるんだ」と感じる(体感する)経験を通して、「がんばらない自分には価値がない」という考えが「勘違いだった!」と理解するプロセスを言う。

では、一体どうやったら、「がんばらなくても、自分には価値がある」と体感することができるのだろうか。

その方法はシンプルだ。でも、今のあなたにとっては最も険しい道となるだろう。

それは、「がんばることをやめること」だ。

たとえば、ムリして仕事を引き受けることをやめる。自ら積極的に仕事を拾いにいくことをやめる。やりたくない仕事を断る。

こうした、今まであなたが正しいと思ってやってきたことの逆の行動を取ること。

ムリして、がんばってやっていることを、やめてみる。

「そんなのありえない!」と感じたと思う。

あなたの気持ちはよくわかる。

でも、そうして勇気を出して、今までの自分の常識とは逆の行動をとってみると。

「がんばらなくても、自分には価値があるんだ」と体感する出来事が不思議と訪れるのだ。

僕自身、そうした体験をしてきたことは、拙著にも記した。

「本当かよ」と思う方は、ぜひ拙著を読んでみてほしい。

カウンセリングを通して、自分の「歪んだ考え」を「認知」する

もう一つの方法は、カウンセリングを受けることだ。

カウンセリングを受けることで、自分の「歪んだ考え」を客観的に「認知」できるようになる。

カウンセリングと聞くと、「病んでる人が受けるもの」という印象を受けるかもしれない。

しかし、それは大きな誤解だ。

僕自身も何度も受けたことがあるし、自分の歪んだ考えを認知するために、とても有効な手法と言える。

カウンセリングを受けると、自分の思考を客観的に認知することができる。

自分の「歪んだ考え」が「事実ではない」と理解することができる。

そうして自分の「歪んだ考え」が「事実ではない」と理解することができれば。

人はそれを「確かめよう」と。「体感」するために、「行動しよう!」と思うことができるようになる。

そういう意味では先に書いた「体感」のための行動に一歩踏みだせない時は。

まずはカウンセリングを受けることをオススメしたい。

勇気を出して行動しようと自然と思えるようになっていくからだ。

まとめ

世の中には仕事のスキルをUPするノウハウ本で溢れているが、働きすぎの問題は、タスク管理や仕事術だけで解決できないことが多い。

大切なことは、「なぜ働きすぎしてしまうのか」という根本的な原因に目を向けることだ。

そしてそのためには、仕事のスキルとは別の「心の教養」を知る必要がある。

具体的には、問題を引き起こしているのはその人の「歪んだ考え」であること。

そして、その「歪んだ考え」を矯正することで、問題は解決すること。

こうした心の仕組みを知り、矯正する方法とあわせて理解することが大切になる。

この記事の理解を深めたい、あるいは具体的にどうしたらいいか知りたいという方は、ぜひ今度開催するオンラインセミナーを受けてみてほしい。

拙著もあなたの役に立つはずだ。

ということで、参考にしてほしい!!!

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この記事を書いた人

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滝川 徹

「30分仕事術」考案者。Yahoo!ニュースやアゴラに記事掲載多数の現役会社員。作家。タスク管理の専門家・セミナー講師。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』他。

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