「FIRE」に過度の幻想を抱くと、達成した後に人生の目標を見失う-早期リタイア後の人生を楽しむために重要なこと

今更だが最近「FIRE」という概念について考える機会が増えている。

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略だ。要は経済的に独立し、早くリタイア生活を送ること。これを目指す考え方となる。

たとえば1億円貯めることができれば、年4%で運用すれば1年で400万円の不老所得が手に入る。

こうした経済的基盤があれば、40代からリタイアすることも可能となるというわけだ。

この話を聞いた時、僕は強い違和感を感じた。

「FIRE」を目指すことはいいことだと思う。特に経済的に自立することは大切だ。

だが、はたしてそんなに早くリタイアする必要があるのだろうか?

これが今日の問いとなる。

たしかに働くことがつらくて仕方がないなら、「早くリタイアしたい」と思うのは当然だ。僕も昔はそう思っていた。

ただ、FIREを達成した時に「仕事=つらいもの」と考えていると、その後人生の目標を見つけられずに苦しむことになる。

なぜなら、FIREを達成した後に直面することになる「人生の目標」は、大半の人にとって仕事が大きく影響してくるからだ。

どういうことなのか。まずはFIRE後の人生を考えるところからはじめよう。

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早期リタイア後に直面する、「人生の目標」

FIREを人生を楽しむ手段としてではなく、目的としてしまうと、達成した時に人生の目標を見失ってしまうことになる。

たとえばソフトブレーン株式会社の元創業者で、成人後に来日した外国人として初めて日本の証券市場(東証マザーズ)に上場を果たした宋文州さん。

宋さんは早期リタイアを果たしたが、人生の目標を見つけられず「2年間もがいていた」と話をしている。

人生の目標を見つけることについて、宋さんは以下のようにも語っている。

目標がないからといって、考えていてもムダだということです・・・結局、目標を見つけるには、あれこれもがくしかないのです。

このことからわかる通り、早期リタイアすることが人生の目標ではない。大切なのは人生の目標を見つけることなのだ。

では人にとって、「人生の目標」とは何なのだろう。

これは当然人によって異なるが、多くの人の場合、最後は「人の役に立つこと」「人に貢献すること」に行き着くのではないかと僕は考えている。

もちろん、会社の仕事のようにやりたくないことをやって、自分を犠牲にする必要はない。

簡単に言うと、自分が得意なこと、好きなことで人に喜んでもらうこと。

これが、人生の目標となる人が多いと思うのだ。

「楽しめる仕事」がFIRE後の人生を豊かにする

経済的自立を達成したお金持ちが仕事をし続ける理由がここにあると思う。

けっきょく最後に人は「人の役に立ちたい」と思い、人の役に立つことに喜びを感じるものだと思うのだ。

そう考えると、多くの人が FIREを目指すのと同時に考えないといけないことは、FIRE後に待っている「人生の目標」を見つけることだ。

それはすなわち、「楽しめる仕事を探すこと」だと思う。

もちろん、今のようにガツガツ働く必要はない。趣味の感覚で、楽しんで仕事をすればいい。

そうすると、FIRE後も人生の目標を見失わず、楽しく生きていくことができるだろう。

FIREを目指すことはいいことだ。ただ、あくまでFIREを人生を楽しむ手段と考え、人生の目的としないこと。

自分が心から楽しめる仕事を探し続けること。それがFIRE後の人生を楽しむためにも、最重要となる。

FIREを目指す人には、早期リタイアをした宋さんの以下の書籍をオススメしておく。

新刊 発売

2023/12/18発売 1,760円(税込)

仕事を30分単位で区切ることで先送り・先延ばしをなくし、最速で片づける仕事術

新刊 発売

2024/2/16発売 1,760円(税込)

自分が好きなこと、得意なことがあれば、誰でも講師になれる

この記事を書いた人

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滝川 徹

「30分仕事術」考案者。Yahoo!ニュースやアゴラに記事掲載多数の現役会社員。作家。タスク管理の専門家・セミナー講師。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』他。

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