トップ自らが実践しなければ組織の風土は変わらない-長時間労働の問題もトップが残業ゼロを実践すれば解決する

これからは人々が生き方を考え、幸福を追求していく時代となるでしょう。

その中で会社がより求められていくのは「多様性を認めること」だと最近特に感じます。「ダイバーシティ」とも言われますよね。

特に大企業はここに大きな課題をもっています。一流企業ほど会社に滅私奉公して働くことこそが「正しい」という風土が醸成されているように感じます。

そういう風土が職場で醸成されていると、それ以外の働き方は「間違ってる」ことになってしまうのです。

そうすると、職場で働くメンバーは誰しも批判されるのが怖いですから、「正しい」働き方をせざるをえなくなります。だから社員は批判されるのが怖くて、がんばらなければ「ならなくなる」わけです。

最近ニュースになった電通の新入社員が亡くなった事件も、この要因が原因の一つだったのではないかと推測しています。

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他の価値観を認めないという組織の風土が結果的に社員をコントロールする

働き方について言えば、仕事が本当に好きで長時間労働を好んでやっている社員もいれば、仕事は就業時間内には全力でやるけれども、就業時間が終われば家族との時間を大切にしたいという社員もいるわけです。

にもかかわらず、長時間労働こそが「正しい」という風土が職場で醸成されていることに問題があるわけです。これが多様性の欠如です。

それ以外の働き方を望む社員は仕事をキッチリやる前提で、自分が望む働き方をしたいだけなのです。にもかかわらず、実際にこういった働き方をすると、ひどい時は非国民扱いされてしまいます。

社員は非国民扱いされるのが怖くて、仕事を無理してがんばらなくてはいけなくなったり、長時間労働をしなければいけなくなります。

これは会社や職場の風土の問題なのです。文化とも言えるかもしれません。他の働き方、つまり他の価値観を認めないという風土が、結果的に社員をコントロールすることになります。

組織の風土を変えるにはトップ自らが風土を壊すしかない

この状態で社員は本当に幸せに働けるのでしょうか。会社は社員のことを大切にしていると言えるのでしょうか。

この風土を変えるのに最も有効な方法は組織のトップ自らが風土を壊すことです。わかりやすい例が会社全体で残業ゼロにしながらも19期連続で増収増益を達成した吉越浩一郎さんです。

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そして最近読んで「おもしろいなぁ」と感じたのがサイボウズの青野さんが書かれた「チームのことだけ考えた」です。組織のトップである青野さん自身が育児休暇を取られるなど、トップ自らが風土の変革にチャレンジしています。

組織のトップがいくら「長時間労働は悪だ」「ダイバーシティだ」とメッセージを発信しても、風土は変わらないのです。トップ自ら、自分が発しているメッセージを実行することで、部下はようやく安心して同じ行動をとることができるのです。

だからトップはまわりからたとえ非難されてでも、組織の風土を変えたいなら自ら行動を変えなければならないのです。そこで問題となるのはトップの勇気だと僕は思っています。

長時間労働の問題も、トップ自らが残業ゼロを実践し、それが組織として当たり前というメッセージを発すれば解決すると僕は思います。新しい風土を作ってしまえば、いいのです。トップはそれができる立場にいるのですから。

電通のニュースは会社こそ違うものの、同じ大企業サラリーマンとして本当に悲しい思いをしました。会社のトップにいる人は是非勇気をもって、会社の風土を変えて欲しいと思います。

今回のことで、僕は真剣に日本の社会のこの風土を変えたいと思うようになりました。今書いている本はその活動のはじめの一歩になるでしょう。

僕は僕で、できることからはじめていきたいと思います。

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この記事を書いた人

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滝川 徹

「30分仕事術」考案者。Yahoo!ニュースやアゴラに記事掲載多数の現役会社員。作家。タスク管理の専門家・セミナー講師。

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。

時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』他。

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